肩甲骨周りが痛い……その原因と改善するストレッチ方法を解説

肩凝りなど肩甲骨周りの痛みに悩んでいる方は多くいます。特にデスクワークや運動不足は肩凝りにつながりやすく、現代病の一つともいえるでしょう。パソコンやスマートフォンを使うときに長時間同じ姿勢をしていると、どんどん筋肉が凝り固まって疲労が蓄積していきます。痛みがひどくなり、日常生活に支障が出ることもあるでしょう。
そこで本記事では、肩甲骨の痛みの原因と、改善するためのストレッチの方法を解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
Toggle肩甲骨とは
肩甲骨は肩関節を構成する骨のうちの一つで、背中の上部にある逆三角形の平らな骨です。その他、肩関節には鎖骨・上腕骨が付いており、3つの骨は一緒に動きます。
肩甲骨には多くの筋肉・腱・靭帯が集合しているため、あらゆる方向に大きく動かすことができます。上下左右はもちろん、回旋させる事も可能です。一方、肩関節はその自由度の高さゆえ安定性が低く、脱臼が起こりやすい箇所でもあります。
肩甲骨を動かす筋肉と肩関節を動かす筋肉はそれぞれ異なりますが、肩甲骨と肩関節は連動するため、肩甲骨の周りの筋肉が衰えたり硬くなったりすると、肩の痛みや可動域の制限が生じます。
また、肩甲骨には腱板と呼ばれるインナーマッスルがあり、腱板の働きが低下すると損傷したり断裂したりすることがあり、肩の痛みの大きな原因となります。
肩甲骨周りが痛い! 考えられる症状は?
肩が痛いときは、肩甲骨周りの筋肉やその他の組織が原因になっていることがあります。ここでは、よくある症状や考えられる原因を紹介していきます。
肩凝り

肩凝りの症状はさまざまで、首筋・首の付け根から肩・背中にかけての張り、こり、痛みを感じるものや、ひどくなると頭痛やめまい、吐き気を伴うこともあります。
肩凝りの主な原因は、筋肉の疲労や血行不良です。
デスクワークやスマートフォンを見るときに猫背の姿勢を続けていると、筋肉が緊張して凝り固まり、痛みが発生します。パソコンやスマートフォンを使っているときの姿勢では腕を前に出すため、重心のバランスを取ろうとして背中が丸まりがちです。丸くなった背中とのバランスを合わせようと、今度は頭が前に出ます。その結果、腕を持ち上げる肩周りや、頭を支える首の筋肉に緊張が起こり、僧帽筋や肩甲挙筋などが疲労してしまいます。
また運動不足や精神的なストレス、冷えなども、血流が悪くなり、肩凝りの症状につながる原因です。運動で筋肉をほぐすと、ストレスによる緊張を和らげたり冷えた身体を温めたりする効果があり、肩凝り改善が期待できます。
五十肩(肩関節周囲炎)
五十肩は「肩関節周囲炎」とも呼ばれ、50代を中心に多く見られます。症状としては肩を動かすときに痛みが生じたり、ある日突然肩が動かせなくなったりします。夜中に症状が現れ、眠れないほどズキズキと痛むこともあるでしょう。
肩関節周辺の骨や軟骨、靱帯、腱などの組織が加齢によって老化し、炎症が起きることが主な原因と考えられていますが、明確なことはまだ分かっていません。
症状は、強い痛みのある急性期、比較的痛みが落ち着く慢性期を経て、回復期へと推移します。慢性期に入って少しずつ肩を動かせるようになったら、無理のない範囲で運動療法を取り入れるのがよいでしょう。回復期に入ると肩関節の可動域の制限が改善され、痛みもほとんど感じなくなります。
回復後もストレッチなどで肩周辺の筋肉をほぐすとともに、肩関節を安定させているインナーマッスルが凝り固まらないよう、負荷の小さな運動をすることをおすすめします。
肩腱板断裂(腱板損傷)

腱板とは、肩関節を安定させる4つの筋肉、棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋の構造体です。肩関節には肩甲骨の受け皿に上腕骨がはまっており、腱板が上腕骨を引き寄せることで安定します。この腱板が断裂すると肩関節が安定性を失い、肩に痛みが出たり腕が上がらなくなったりします。五十肩と異なり、関節の動きが硬くなることはありません。
転倒によるけがやスポーツで同じ動作を繰り返した結果、腱板が切れることもありますが、加齢で徐々にすり減り、自然に切れることもあります。特に40歳以上の男性の右肩によく発症するとされています。腱板はレントゲンに映らないため、正確な診断にはMRI検査が必要です。
肩甲骨のストレッチ方法
肩甲骨周りの痛みを緩和するためにはストレッチが有効です。ストレッチで筋肉をほぐすと血流が良くなり、痛みの改善が期待できます。そこで、おすすめのストレッチ方法を3種類紹介します。
肩回しストレッチ
まずは、座ったままでもできる簡単なストレッチです。
1.両手を肩に置く

2.肩甲骨を動かすように意識しながら、肘で大きく円を描くように回す

3.反対方向も同じように回す
肩に手を置くことで、反動を使わない低負荷な運動を行なうことができます。低負荷な運動はインナーマッスルを刺激する効果があるので、勢いをつけずにゆっくりと回しましょう。
同じ姿勢を続けているとインナーマッスルが疲労して血流が悪くなるため、デスクワークの合間などにもおすすめです。また、五十肩の予防や慢性期以降の運動療法にも効果があります。
肩甲骨を動かすことを意識するのがポイントですが、特に、肩甲骨を下げる動きが大切です。デスクワークの姿勢では肩が上がりがちになるためです。また、前に回すときと後ろに回すときでは異なる筋肉が使われます。両方向に回してまんべんなくほぐすようにしましょう。
タオルを使った肩甲骨ストレッチ
肩が固まって動かしにくい方には、タオルを使った肩甲骨ストレッチがおすすめです。
1.両手でタオルの両端をそれぞれ持つ(椅子に座った状態でも、立ったままでも可)

2.タオルを持ったまま腕を上げ、頭の後ろに回す

3.胸を張りながら腕をゆっくり後方に倒す
4.タオルを持ったまま10秒キープする
5.腕を元の位置にゆっくり戻し、同じ動作を10回程度繰り返す
タオルを持った腕を上げて後ろに倒していくと、胸の少し上の部分が突っ張るように感じるかと思いますが、これは小胸筋という筋肉が伸ばされている状態です。
小胸筋は肩甲骨を外側に離す働きをします。パソコンやスマートフォンを使っているときに腕を前に出しっ放しにしていると、肩甲骨が外に引っ張られ、小胸筋は常に収縮した状態で凝り固まってしまいます。猫背や巻き肩の方は小胸筋が硬くなっていることが多いため、ストレッチでほぐしておきましょう。
腕を組み背中を反らす肩甲骨ストレッチ
組んだ腕を背中に回し、肩甲骨を寄せて背中を反らせることで、肩甲骨周りの筋肉を伸ばすストレッチです。
1.両足を軽く開き、体の後ろで両手の指を組む

2.組んだ手を、痛くない程度にひっくり返す

3.組んだ手を後ろに伸ばし、腕と背中を伸ばす

4.あごを上げて、胸を張り、背中が伸びたところで15秒キープする(呼吸を止めないように注意)
デスクワークやスマートフォンに夢中になっていると、上腕が前に出る姿勢となり、肩関節を屈曲させるときに働く大胸筋や、上腕二頭筋が収縮したままになります。このため、胸を張って腕を後ろに伸ばす姿勢でストレッチをすると、凝り固まった筋肉がほぐれます。
さらに肩甲骨を内側に寄せる姿勢になるため、肩甲骨を外側に離すときに収縮する前鋸筋もほぐすことが可能です。また、スマートフォンを見るときは下を向く姿勢になります。上を向くことで胸鎖乳突筋のストレッチにもなり、首こりの改善にも役立ちます。一度にさまざまな筋肉をほぐせるため、おすすめのストレッチです。
まとめ
慢性的に痛みが続きやすい肩凝りですが、肩甲骨ストレッチで改善できることもあります。場所を選ばず時間もかからないので、積極的に取り入れましょう。
さらにストレッチやヨガ、ピラティスを追求したい場合は、スポーツジムに通うという手段もあります。スポーツクラブNASでは、ストレッチ・ヨガ・ピラティス教室を開催しています。肩凝り・腰痛解消、姿勢の改善、睡眠の改善に好評です。お近くの スポーツクラブNASの店舗 へお問い合わせください。
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