筋トレで体重は増える?原因やメリット・体重を減らす方法とは

ダイエット目的で筋トレを始めたのに体重が増えてしまい、「逆効果?」と不安に感じたことがある人もいるでしょう。筋トレによって体重が増えるのはめずらしい現象ではなく、あくまでも一時的なものなので、決してボディメイクやダイエットに失敗しているわけではありません。
当記事では、筋トレで体重が増える理由、体重増加がもたらすメリット、体重増加を抑えるための運動・食事の方法を詳しく解説します。筋トレ初心者から中級者まで、納得しながら継続するためのヒントが満載なので、ぜひ読み進めてみてください。
目次
Toggle筋トレで体重は何キロ増える?

筋トレを始めると体重が1~2kgほど増える場合がありますが、必ずしも全員に当てはまるわけではなく、中には変化を感じない人もいます。体重が増えやすい時期としては、主に「筋肉が成長しやすい期間」と「体内の水分量が一時的に増える期間」が挙げられます。
筋肉が成長しやすい期間 | 1か月に0.5~1kgほど体重が増えることがあります。筋トレを始めてから3〜6か月間は変化を実感しやすい時期です。 |
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体内の水分量が一時的に増える期間 | トレーニング直後から数日間は、むくみなどにより、一時的に体重が増えることがあります。 |
いずれの場合も体脂肪量が増えたわけではなく、筋肉や水分の影響によるものです。筋トレを継続することで基礎代謝が高まれば、体重が減少に転じることも期待できます。
筋トレで体重が減るのはいつから?
筋トレを始めてすぐに体重が減るとは限らず、開始から2週間~1か月ほどで減少を実感する人が多い傾向にあります。筋トレ開始初期は筋肉の成長や水分の保持によって一時的に体重が増える場合もありますが、筋トレを継続することで徐々に筋肉量が増えると、基礎代謝が向上して体重が落ちやすくなります。
さらに、筋トレを3~6か月継続すると体重の減少傾向が強まり、体脂肪が落ちて全身がすっきりとした印象になるケースも見られます。ただし、体重推移には個人差があるため、数値に一喜一憂しないことが大切です。
筋トレで体重が増える原因
ボディメイク中やダイエット中に体重が増えると不安になるかもしれませんが、それは必ずしも悪い兆候ではありません。筋トレで体重が増える原因には主に3つ挙げられます。
筋肉量が増えた
筋トレを始めると、筋肉増加により体重が増えることがあります。これは、筋肉の密度が脂肪よりも高く、同じ体積でも筋肉のほうが重いためです。一般的に、筋肉は1立方センチメートルあたり1.10g、脂肪は0.90gと言われており、5リットル分の筋肉と脂肪を比較すると約1kgの差が生まれます。
そのため、脂肪減少により体型が引き締まっていても、筋量とともに体重が増加するのは自然な現象と言えます。筋トレを続ける中で体重が増えたとしても、順調に筋力が付いていれば、周囲から「痩せた?」と聞かれることも増えるでしょう。また、筋肉量増加に伴い基礎代謝が高まり、エネルギー消費量が上がった場合、長期的には体重減少やリバウンド防止にもつながります。
体内の水分量が増えた
筋トレにより筋線維が微細に損傷すると、その修復を促すのに炎症反応が起こって損傷部位に水分が集まるため、体重が一時的に増加する場合があります。筋肉は損傷と修復を繰り返すことで鍛えられ、破断された筋線維が元よりも少し太く修復される現象を「超回復」と呼びます。超回復は、筋肉が回復・成長するのに重要な過程です。
筋肉は約80%が水分で構成されており、脂肪組織の約33%に比べて多くの水分を保持します。筋トレを継続すると筋肉量とともに体内の水分保持量も増えるため、体重が増加することがあります。また、女性はホルモンの影響で水分をため込みやすく、月経周期の関係でむくみやすい時期もあるでしょう。ただし、体内水分量による体重変動は一過性で、数日から1週間程度で元に戻るケースがほとんどです。
出典:健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「筋力・筋持久力(きんりょく・きんじきゅうりょく)」
食事量が増えた
筋トレを始めると運動量が増えることで食欲が高まり、無意識のうちに食事量が増える人もいます。「筋トレをしたから少しくらい多めに食べても大丈夫」と思ってしまいがちですが、摂取カロリーが消費カロリーを上回れば、当然体重は増加します。筋トレの消費カロリーは有酸素運動に比べて少ないため、油断して食べすぎると体重が増える要因となります。
また、タンパク質の補給のためにプロテインを摂取する場合、種類によってはカロリーが高く、過剰に摂取すると脂肪として蓄積される可能性があるため注意が必要です。筋肉の成長にはタンパク質が不可欠ですが、食事の質と量のバランスを保ち、必要なカロリー・摂取量に収める意識を持つとよいでしょう。
性別によっても筋トレで増える体重は違う?

筋トレによる体重の増え方や筋肉の付き方には、性別による違いがあるとされています。男性は女性に比べて筋肉量が多く、筋肉の成長を促す男性ホルモンの分泌量も多いため、筋トレ初期からトレーニングの効果が早く表れやすい傾向があります。男性の場合は筋トレ開始から数週間〜3か月間に筋肉量が増えやすく、体重の増加を実感する人もいます。
一方で、女性はホルモンの影響により脂肪が付きやすく、筋肉量は男性の50〜70%程度とされています。筋肉は緩やかに増加する傾向にあるため、筋トレによる体重増加もゆっくりと表れる女性が多いと言われています。また、筋肉の付きやすい部位にも違いがあり、男性は肩や腕、女性は下半身に筋肉が付きやすいという傾向があります。トレーニング効果の表れ方には個人差もあるため、性別に応じた体の特性を理解し、焦らず継続することが大切です。
筋トレで体重が増えるメリット
筋トレを続けて体重が増えることには、以下のようなメリットもあります。
・基礎代謝が上がる
基礎代謝は1日の消費エネルギーの約60%~70%を占めており、そのうち約40%は筋肉によるとされています。筋肉は、安静時でもエネルギーを消費します。近畿大学の研究では、除脂肪量が1kg増えると基礎代謝が1日あたり約50kcal増加することが報告されています。
・成長ホルモンなどの分泌を促す
筋トレは、脂肪分解作用がある成長ホルモンやノルアドレナリンなどの分泌を促進します。中性脂肪がホルモンや酵素の働きで遊離脂肪酸とグリセロールに分解された後、遊離脂肪酸がエネルギー源として使用されるようになります。つまり、筋トレによるホルモンの分泌促進は、脂肪が燃えやすい状態を作ることにつながります。
・骨密度が向上する
筋肉量の増加は骨密度の向上にも貢献します。高齢者の場合、筋トレによって転倒や骨折のリスクを減らせることが複数の研究で示されています。
・生活習慣病の発症リスクが減る
筋トレを実施している人は、していない人に比べて、心血管疾患やがん、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが10〜17%低いと報告されています。
また、筋肉量が増えることで体温が維持されやすくなれば、冷え性の改善や免疫力の向上が期待できます。見た目についても筋肉によって「体のラインが引き締まる」「姿勢がよくなる」などのポジティブな変化が表れる可能性があります。
このように、筋トレによる体重増加は単なる「太った」ではなく、健康的な体質への変化を意味しています。長期的に見れば、太りにくく疲れにくい体を作り、生活習慣病や老化のリスクを軽減する大きなメリットがあると言えるでしょう。
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 筋力トレーニングについて」
出典:横浜市スポーツ医科学センター「肥満と減量(理論編) 知っておきたい肥満と減量の基礎知識【理論3】減量に筋力トレーニングが必要な理由」
筋トレによる体重増加を防ぐ方法
筋トレによる体重増加が気になる場合は、適切な運動や食事の工夫によって調整が可能です。ここでは、体重管理の具体的な方法や、増えた体重を無理なく減らすポイントを紹介します。
インナーマッスルも鍛える
インナーマッスルとは、姿勢の保持や関節の安定、内臓のサポートなどに関わる、体の深部にある筋肉です。見た目に大きな変化をもたらすアウターマッスルと違い、インナーマッスルは筋肉量の増加による体重増加を抑えながら基礎代謝を高め、脂肪燃焼をサポートする効果が期待できます。
さまざまな筋トレメニューの中でもプランクは、自重で行えてインナーマッスル全体にアプローチできる筋トレ方法です。プランクの基本手順は以下の通りです。
- 床にうつ伏せになり、両肘を肩の真下に付けて前腕を床に置きます。
- 足は腰幅に開き、つま先を立てます。
- 肘とつま先で体を支えるようにして、体をまっすぐ持ち上げます。
- 視線は斜め下に向け、首から足まで一直線になる姿勢を20~30秒キープします。
- 終了後はゆっくりと体を床に戻します。


有酸素運動を取り入れる
有酸素運動は体脂肪の燃焼を促すため、筋肉量を維持したまま引き締まった身体を目指すことができます。筋トレと組み合わせるのにおすすめの有酸素運動はウォーキングやジョギング、水泳、ヨガなどの低~中強度の運動で、日常生活にも取り入れやすい点が魅力です。
厚生労働省では、健康維持のために「1日60分以上の身体活動」「1日8,000歩以上」を目安とした運動を推奨しています。「通勤や買い物は徒歩にする」「家事の合間にストレッチをする」など、ちょっとした行動の積み重ねでも身体活動量は増加します。また、長時間座りっぱなしにならず、こまめに立ち上がって動くことも意識するとよいでしょう。
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 成人版」

栄養バランスの整った食事をとる
筋肉の維持や脂肪燃焼を効率よく進めるためには、タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取する必要があります。筋トレによる体重増加を抑えたいときは、ただ食事量を減らすのではなく、栄養バランスの整った食事を心がけましょう。特にタンパク質は筋肉の修復と合成を支える栄養素であり、炭水化物はトレーニングのエネルギー源として欠かせません。極端な食事制限や糖質制限をしてしまうと、タンパク質がエネルギーとして消費され、筋肉量が減る可能性もあります。
食事では主食・主菜・副菜を意識しながら、肉や魚、豆類、野菜、海藻、きのこなどを積極的に取り入れるようにしましょう。揚げ物を控え、蒸す・茹でる・焼くなどの調理法を選ぶと、摂取カロリーを抑えやすくなります。食事量が少なくて満足できない場合は、野菜や汁物などでかさ増しをして満腹感を得る工夫も効果的です。
筋トレ中は体重以外に見た目や体脂肪率も大切?
筋トレ中に体重が増えると、「ダイエットが失敗しているのでは?」と不安になるかもしれません。しかし、体重の数値だけにとらわれず、見た目や体脂肪率の推移にも目を向けることが大切です。筋肉は脂肪よりも重いため、筋トレによって筋肉が付くと体重は増加しても体は引き締まり、メリハリのある健康的な印象になります。
また、体脂肪率が減少していれば、体重は変わらなくても筋トレ効果は表れていると言えるでしょう。筋肉量が増えることには、基礎代謝が上がり、太りにくく痩せやすい体質に変わる効果も期待できます。体重計の数字に一喜一憂するのではなく、鏡に映る自分の姿や体脂肪率の変化など、総合的な視点で成果を判断することが成功の鍵です。
まとめ
筋トレで体重が増えるのは、筋肉量や水分量の変化が原因であり、脂肪が付いたわけではありません。また、体重の増加は一時的です。筋肉量の増加は基礎代謝の向上につながり、長期的には太りにくい体質の実現にも貢献します。
また、栄養バランスの整った食事はもちろん、有酸素運動も取り入れることで、ボディメイクやダイエットを健康的に進めることが可能です。筋トレと有酸素運動の両方を習慣化するなら、スポーツジムに通うのもおすすめです。まずはお近くのスポーツクラブNASの各店舗までお問い合わせください。
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