なぜ来る? ダイエットの壁 停滞期を突破する方法とは
ダイエットを始めたばかりのときは、順調に体重が減少していくものです。しかし喜びも束の間、ある時期から体重がほとんど変わらなくなることがあります。これがいわゆる「ダイエットの停滞期」で、多くの人が挫折しやすいタイミングです。
今回は、なぜダイエットには停滞期があるのか、どうやって停滞期を判断するのかを説明します。停滞期の突破方法についても詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
Toggleダイエットの停滞期とは何か
ダイエットでこれまで体重が順調に減少していたのに、突如としてその変化が止まってしまう期間を「停滞期」と言います。停滞期は多くのダイエッターが経験する現象で、少し食事制限を厳しくしたり運動強度を上げたりする程度では、体重がほとんど変動しません。
この停滞期は、体が新しい体重を維持するための新しい「セットポイント」を形成しようとしている時期ともいわれています。セットポイントとは体重や体温、体脂肪率などの基準値のようなもので、著しい環境変化が起こっても健康を維持するために備わっている身体機能です。例えば、人間の平熱がだいたい36℃に保たれているのも、セットポイントの働きによるものです。体がセットポイントの体重をキープしようとすると、ダイエット効果も抑えられてしまいます。
停滞期は一時的なものであることが多いのですが、その人の体質やダイエット方法によっては長引くケースもあります。そのためダイエットのモチベーション低下につながり、挫折の原因となることも少なくありません。なぜ停滞期が起こるのか、どうすれば克服できるのかを知っておくことは、ダイエット成功への近道といえるでしょう。
なぜダイエットには停滞期があるのか
停滞期、すなわちダイエット中に体重が減らない現象には、「ホメオスタシス」と「ホルモンバランス」が関係しています。ここでは、ダイエットに停滞期がある原因について、ホメオスタシスの働きとホルモンバランスの影響という観点から説明します。
ホメオスタシスの働き
ホメオスタシスとは、環境が急激に変わっても体の状態を一定に保とうとする働きのことです。生体恒常性とも言い、餓死などの生死に関わる状態を回避するため、防衛機能として私たちの体に備わっています。
ダイエットの実施によって摂取エネルギーが減ると、飢餓状態にあると脳が判断して体の各部位になるべくエネルギーを消費しないように指令を出します。いわば、体が「省エネモード」に切り替わり、先述したセットポイントの体重を維持しようとする訳です。具体的には、栄養の吸収率が上昇したりいつも以上に脂肪を蓄えようとしたり、基礎代謝量が下がったりします。
ホメオスタシスが働いて停滞期を迎えたということは、ダイエットの初期段階はクリアできているともいえるでしょう。そのままダイエットを継続していると、いずれは脳が新たなセットポイントを設定します。セットポイントのリセットによってホメオスタシスの働きが弱まるため、また体重が落ちていくようになります。
ホルモンバランスの影響
体重への影響が大きいホルモンとして「インスリン」と「レプチン」が挙げられます。インスリンは食後にすい臓から分泌され、血糖値を下げる働きを持つホルモンです。インスリンは血液中の糖を脂肪として蓄えさせるため、過剰に分泌されると体重の増加につながります。
一方、レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、食欲を抑える働きがあります。ただしレプチンがうまく機能しないと、食欲が増しカロリー摂取量が増えてしまうので、ダイエットをしているときは要注意です。このように二つのホルモンバランスが崩れると、なかなか体重が落ちない状態が発生します。
さらに女性の場合は、女性ホルモンのバランスが変化することで停滞期を招くケースもあります。その中でも排卵期に分泌される「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は影響が大きく、食欲を増進させて体重増加を促しやすいです。また、体内の水分量を保とうする働きもあるため「体脂肪は落ちているはずなのに全然やせない」「食事量を減らしても体重が変わらない」「体がむくみやすい」といった状態を引き起こします。
食事の偏りやストレスによってプロゲステロンが過剰分泌されるので、ダイエット中は特に注意しなければなりません。
ダイエットの停滞期の判断
ダイエット中に1〜2日程度、体重が減少しないことがよく起こります。体重が落ちないだけでダイエットの停滞期と判断するのは早計です。ここでは、停滞期だと明確に判断できる指標を2つ紹介します。
体温の低下
体温がいつもより下がっていたら、停滞期に入っている可能性があります。停滞期かどうかを判断する体温低下の目安は「0.2℃以上」です。体温は基礎代謝量と連動しているため、一日のカロリー消費量が落ちていると考えられます。ただし、より正確に判断するには、体温を毎日同じ時間に測定することが大切です。
基礎代謝が落ちて体温がいつもより低下してしまうのは、食事制限によって筋肉量が減少することが主な原因といわれています。
2週間以上体重が減らない
食事制限をして「カロリー消費量>カロリー摂取量」になるよう心がけていれば、自然と体重が落ちていくものです。ただし、先述の通りホメオスタシスが働くと、セットポイントの体重からほとんど動かなくなります。もし2週間以上体重が変化しない場合は、停滞期に入ったと判断して良いでしょう。
停滞期に入ると、2週間から1ヶ月ほど体重が落ちない期間が続きます。セットポイントのリセットがかからなければ、2ヶ月以上も長引く場合があります。努力がなかなか報われない苦しい時期であるため挫折しやすいのですが、「ああ、停滞期に入ったんだな」と思って自分を責めないようにしましょう。
ダイエットの停滞期を克服する方法
正しい方法で黙々とダイエットを継続していれば、いつかは停滞期を脱することになりますが、なるべく早く克服できた方が心身の負担が軽くなりますし、挫折もしにくくなります。
ここでは、ダイエットの停滞期を克服する方法を4つ紹介します。
チートデイの実施
チートデイとは、ダイエット中に食事制限を緩めて、好きなだけ食べても良いとする日のことです。チート(cheat)は「ごまかし、ずる」という意味で、食事量をごまかすということになります。チートデイを設定するのは、脳の「飢餓状態にある」という判断をだまして、停滞期を脱するのが目的です。また、食べたいものが食べられないという精神的ストレスを緩和させる効果もあるため、突発的な暴飲暴食も防げます。
チートデイは停滞期に入ったと判断してから取り入れたり、1〜2週間に1回といった要領で定期的に実施しても構いません。あまりにもカロリー過多になりすぎないようコントロールしつつ、食べたいものを食べましょう。
ただし、チートデイがきっかけとなって、精神的な歯止めが効かなくなり過食が続くようでは本末転倒になるので、その点は注意しましょう。
食事内容の見直し
ダイエットの停滞期を乗り越えるためには、食事の内容と量、タイミングを適切に調整することが重要です。停滞期では食べる量をもっと減らそうと考えがちですが、過度な食事制限は筋肉量を減少させ、基礎代謝量低下の原因となります。
筋肉量を維持しながらダイエットを進めるためには、タンパク質と炭水化物の摂取が不可欠です。特にタンパク質は、髪や爪、肌の材料となる栄養素なので、不足するとやつれた見た目になってしまいます。手軽にタンパク質を取りたいならプロテインがおすすめです。
PFCバランスだけでなく、ビタミンとミネラル、食物繊維も摂取できているかも見直してみましょう。食事量を減らしていると栄養素のバランスが崩れやすいため、サプリメントなどで補うことも検討してください。
また、食事の間隔を調整して長時間の空腹を避け、体に飢餓状態を感じさせないようにするのも有効です。過度な空腹感による食べ過ぎや、ホメオスタシスの発動を防げます。
ダイエット期間の見直し
停滞期は急激な体重減少に対して起こりやすいです。短期間でダイエットを成功させようとして無理な食事制限に取り組むと、すぐに停滞期に入ってしまいます。脳が急激な環境変化が起こっていると判断して、ホメオスタシスが働いてしまうためです。
ダイエットは長期にわたって取り組むものと考え、一定の成果が出るまで最低3ヶ月はかかるものだと割り切りましょう。1ヶ月あたりの減量目安は、体重の5%までが望ましいとされています。
現在の体重 | 50.0kg | 60.0kg | 70.0kg | 80.0kg | 90.0kg | 100.0kg |
1ヶ月の減量上限 | 2.5kg | 3.0kg | 3.5kg | 4.0kg | 4.5kg | 5.0kg |
1ヶ月後の体重目標 | 47.5kg | 57.0kg | 66.5kg | 76.0kg | 85.5kg | 95.0kg |
早くやせようとして1〜2ヶ月の停滞期に入ってしまうぐらいなら、最初から3ヶ月スパンで取り組んだ方が体への負担が少ない上に、挫折もしにくいでしょう。
トレーニングに変化をつける
ダイエット中は、食事制限と並行して適度な運動も行うと効果的です。一般的には、無酸素運動(筋肉トレーニング)と有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)を組み合わせます。
しかし停滞期に突入すると、同じ運動を続けているだけでは体重が落ちにくくなってしまいます。ダイエットの停滞期だと判断したら、これまでやってこなかったトレーニングにもトライしてみましょう。
トレーニングに変化をつけたいなら、新しい運動器具を購入したりスポーツジムに通ったりするのがおすすめです。鍛える部位が変われば筋肉量が増え、基礎代謝量もアップします。あるいは自重スクワットをバーベルスクワットにするなど、単純に負荷を上げるのも良いでしょう。
また、HIIT(高強度インターバルトレーニング)も効果的なので、体力に自信がある人は取り入れてみてください。HIITは20秒間の高強度運動と10秒間の休憩を8回繰り返すのが基本で、わずか4分程度で高い脂肪燃焼効果が得られます。
まとめ
程度に個人差はありますが、ダイエットをしていれば誰でも停滞期を経験します。すぐに結果を出そうとするほど体の防衛反応が強く働き、かえって体重が落ちなくなってしまうものです。無理な食事制限は避け、長期的にダイエットを継続することが停滞期への対策となります。
停滞期で苦しまないような健康的なダイエットを目指すなら、無駄な体脂肪を減らしつつ筋肉もつけていくことが大切です。目標に到達するまでは精神的に辛いかもしれませんが、なんとか乗り越えましょう。
辛いダイエットを継続させる方法として、スポーツジムに通うという方法もあります。トレーナーに相談したり仲間を見つけたりすることができ、ダイエット成功の大きな助けとなるでしょう。関心のある方はお近くの スポーツクラブNASの店舗 まで、ぜひお問い合わせください。
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