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股関節は肝心要の部位 ストレッチで可動域を広げる

股関節は肝心要の部位 ストレッチで可動域を広げる

股関節は、肩関節や膝関節と並んで人体にある関節のなかでも大きな関節のひとつ。健康維持や円滑な動作、美容を保つのに重要な役割を持っており、股関節の柔軟性は大切です。この記事では、股関節が硬くなる原因や、柔軟性が失われた股関節が引き起こす影響、そして柔らかい股関節に導くストレッチを紹介します。

股関節はどんな部位?

そもそも股関節とはどのような部位なのでしょうか。最初に、股関節の位置や役割を見てみましょう。

股関節とは

股関節は、左右の両足の付け根にある大きな関節のことを指し、太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)と骨盤から構成されています。

大腿骨上部先端の「大腿骨頭(だいたいこつとう)」が骨盤にある「寛骨臼(かんこつきゅう)」というくぼみにはまり込んでおり、寛骨臼の周囲を筋肉で支えて安定させています。また、大腿骨頭と寛骨臼の表面を覆う関節軟骨はクッションのような役割をし、関節の動きを滑らかにします。

このような構造のため、脚を前後左右に動かす、内側や外側に回すといった動きが可能なのです。

股関節の役割

股関節は、上半身を支え、下半身を動かすという役割を持ち、人間が四つ足歩行から二足歩行へと進化してゆくときに長い年月をかけて形成されました。

体重を支える股関節は常に負荷がかかっている状態。両足で立ち静止しているときには、両方の股関節それぞれに体重の2分の1の重さを支えていますが、動きが伴うとさらに負荷がかかります。例えば歩行時には加速度が加わるため静止時の3~4倍、階段を上り下りするときには6~7倍、ジャンプする際には12倍の荷重がかかると言われています。

股関節はさまざまな動きや負荷に耐えられるような精巧なつくりになっており、正常な股関節を維持するには、関節だけでなく周囲の筋肉も整えていく必要があります。

股関節が硬くなる原因

次に、股関節が硬くなる原因を探るとともに、どのような状態だと股関節の柔軟性が損なわれるのかを見てみましょう。

股関節が硬くなるメカニズム

股関節が硬いというのは、股関節周辺の筋肉が固まり、可動域が狭くなっている状態です。

股関節まわりの筋肉は股関節の動きとともに伸縮します。股関節の動きが小さかったり、動かさなかったりすると、筋肉が固くなってしまい伸展しにくくなります。動かせる範囲が狭まってしまうことが続くと、股関節が硬いという状態になるのです。

また、股関節周辺にある関節包やじん帯などを構成しているコラーゲン繊維質が、筋肉などに蓄積し筋肉を固くしてしまうこともあります。ケガの治療でギブスで固定すると、関節が硬くなって動かなくなってしまうのはこのためです。

いずれも、日常生活で身体をあまり動かさないことが股関節の可動域を制限させてしまう原因です。

座っている時間が長い

座っている時間が長い

筋肉を固くし、股関節の可動域を狭くする原因のひとつに、同じ姿勢を長時間取り続けることが挙げられます。

歩く、しゃがむ、階段を登るなどの動きをするときに股関節を動かしますが、ずっと座った状態では、股関節を動かす機会がありません。そのため股関節の筋肉が収縮せず、固まってしまうのです。

また、座っている時間が長いとお尻の筋肉を動かさないため、筋肉が固まるうえ、筋力の低下につながります。お尻には、股関節を外側へ回す役割をする「梨状筋(りじょうきん)」などがあり、お尻の筋力が低下したり固まったりしてしまうと、股関節の可動域も制限されてしまうでしょう。

姿勢が悪い

猫背や前かがみなどの背骨が歪んだ姿勢も、股関節を固くする原因です。

本来の正しい姿勢では、骨盤は前傾も後傾もしていない状態です。しかし姿勢が悪いと、骨盤が前傾または後傾してしまい、骨盤周りの筋肉に負担がかかってしまいます。その結果、骨盤の歪みを引き起こし、上半身を支えている股関節の筋肉も緊張状態になり固くなってしまうのです。

また悪い姿勢で歩くことも股関節を固くします。例えば、猫背やガニ股であるくクセがあると、お尻の付け根から太もも裏側、そしてヒザ裏周辺にあるハムストリングスという筋肉が固くなることも。ハムストリングが固まると、骨盤が前後に動きにくくなり、股関節の動きも制限されてしまい、股関節の柔軟性が低下します。

股関節が硬くなるとどうなるか

股関節が硬くなるとどうなるか

股関節が硬くなることで身体がどう変化するのでしょうか。残念ながら、身体への影響は良いものではありません。

血行不良・代謝の低下

股関節が硬くなり筋肉の収縮が少なくなることは、血のめぐりやリンパの流れが悪くなる原因になります。

股関節の周辺には大きな血管やリンパ節があり、筋肉の収縮によって血液やリンパの循環が促進されます。しかし股関節が硬く可動域が狭いと、筋肉の伸び縮みが少なくなってしまい、血管やリンパの流れが悪くなるという仕組みです。

血行不良によって下半身が冷えてしまったり、リンパの停滞により老廃物が排出されず、むくみやすくなります。

また股関節が硬く可動域が狭いことから、筋肉を充分に使えず、筋力低下につながりかねません。筋力の低下は基礎代謝の低下を招き、熱を生み出せず消費カロリーが減ってしまうため、体脂肪を溜め込みやすくなりがちです。

運動のパフォーマンス低下

股関節が硬いと、足を上げる、しゃがむといった動作がスムーズにできない、歩幅を広げられないなど動きが制限されてしまいます。可動域が狭まり、さまざまな角度で股関節を動かすのが難しくなるためです。

股関節の可動域が狭くなってしまった人はケガをしやすい傾向があります。例えば歩行の際にスムーズに足を上げられないと、障害物につまずいてしまい、転倒してしまうこともあり得るでしょう。

股関節の硬さによって、腰やヒザを痛めてしまうこともあります。走る、ジャンプするなどの動作で地面に着地するときには、股関節が足にかかる衝撃をクッションのように吸収しますが、股関節が硬いと着地の際の衝撃を吸収できずにダイレクトに受けてしまうためです。

おすすめの股関節ストレッチ

股関節周りをほぐすおすすめのストレッチを2つ紹介します。お風呂上りなど、身体が温まっているときに行うと効果的です。

基本のストレッチ

最初に紹介するのは座った状態でできるストレッチです。ポイントは勢いをつけずにゆっくり伸ばすこと、無理に伸ばそうとしないこと、そして呼吸を止めないことです。

1.床にあぐらの姿勢で座り両足の裏を合わせます。両手で足を包み込み、かかとを体の近くに引き寄せます。

床にあぐらの姿勢で座り両足の裏を合わせます。両手で足を包み込み、かかとを体の近くに引き寄せます。

2.背中をまっすぐに伸ばし、30秒間深呼吸します。

背中をまっすぐに伸ばし、30秒間深呼吸します。

3.両腕を伸ばして前方の床に手のひらをつけます。

両腕を伸ばして前方の床に手のひらをつけます。

4.背中をまっすぐに保ったまま、息を吐きながら、ゆっくりと上体を前に倒します。

背中をまっすぐに保ったまま、息を吐きながら、ゆっくりと上体を前に倒します。

5.手順4の上体を保ったまま、1分間深呼吸します。

慣れてきたら、股関節がさらに伸びるようにヒザを床に近づける動きを取り入れるのもおすすめです。

四股

次に、立って行うストレッチを紹介します。

1.足を大きく広げて立ち、つま先を少し外側へ向けます。

足を大きく広げて立ち、つま先を少し外側へ向けます。

2.手を太ももに添え、お尻を真下に降ろすようにゆっくりしゃがみます。このとき、ヒザがつま先と同じ方向に曲げるのがポイントです。

手を太ももに添え、お尻を真下に降ろすようにゆっくりしゃがみます。このとき、ヒザがつま先と同じ方向に曲げるのがポイントです。

3.可能であれば、ももとお尻が床と水平以下になるまで降ろします。余裕があれば、肘を曲げ太ももに添えます。

可能であれば、ももとお尻が床と水平以下になるまで降ろします。余裕があれば、肘を曲げ太ももに添えます。

4.1分間重心を左右に移動します。

このストレッチのポイントは、ヒザを曲げたときにお尻を下へ降ろすこと。お尻が後ろに突き出てしまうと股関節が開きません。無理にお尻を下げようとせず、自分が気持ちよいと感じるところまででストップするようにしてください。

まとめ

股関節はスムーズな動きをしたり、健康的な身体を維持したりするのに重要な部分。特に男性は、大腿骨頭骨と受け皿である寛骨臼のはまりが深いため、女性に比べて股関節の可動域が狭く、硬くなりやすい傾向があります。

股関節の柔軟性を保つために、日頃から股関節ストレッチなどを行いましょう。また、スポーツジムでヨガやストレッチなどのプログラムに参加するのもおすすめです。効果的に股関節の柔軟性を高められるでしょう。

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