プロテインを飲むタイミングはいつ? ベストな時間と飲み方を解説
プロテインは、適切に摂取すると筋トレの効果を高め、ボディメイクを効率的に行うことができる重要な食品です。体づくりのためにプロテインを取ろうと思っていても、いつ飲むのがベストなのかわからない人も少なくないでしょう。今回はプロテインの基礎知識や種類、メリットを踏まえて、飲むタイミングや外出先で摂取する方法を解説します。
目次
Toggleプロテインとは
プロテイン入りの飲料や食品は、普段からスーパーやコンビニで見かけるほど身近なものです。ここではまずプロテインとは何かについて説明します。
プロテインとはタンパク質のこと
プロテイン(protein)は英語で「タンパク質」を意味します。語源はギリシャ語の「proteios」で、「第一の性質、もっとも大切なもの」を表す言葉です。その名のとおりタンパク質は生物にとってもっとも重要な物質で、細胞の主な構成要素です。
タンパク質は炭水化物と脂質とともに三大栄養素の一つであり、毎日の食事で適量を摂取しなければなりません。タンパク質を構成するのは20種類のアミノ酸ですが、そのうち9種類のアミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン・スレオニン・メチオニン・リジン・フェニルアラニン・トリプトファン・ヒスチジン)は、自分で作ることができないため必ず食事から摂取しなければいけません。そのため、必須アミノ酸と呼ばれています。
日本人の食事摂取基準(※)によるとタンパク質の1日あたり推奨量は、18~64歳の男性は65g、65歳以上の男性は60g、18歳以上の女性は50gとされています。しかし、ダイエット目的の食事制限や偏った食生活など、さまざまな原因でタンパク質不足になるケースがあります。
※出典:厚生労働省.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
プロテインパウダー
日本で「プロテイン」というと、一般的にはタンパク質を摂取するためのサプリメント(補助食品)のことを指します。粉末状のプロテインパウダーを水や牛乳に溶かして飲むことで、タンパク質を効率的に取ることができます。
タンパク質は食事から取るのが基本ですが、誰もが1日の推奨量をコンスタントに摂取できるとは限りません。仕事が忙しくておにぎりや惣菜パンなどで昼食を済ませる人や、肉料理や魚料理をあまり食べない人も多くいます。筋肥大を目的にトレーニングをしているのなら、食事からだけでは十分量のタンパク質を取るのが難しいケースもあります。
タンパク質が不足すると、筋肉量が減少したり髪の毛や皮膚のトラブルが起こったりします。ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の生成量も低下するため、思考力やメンタル面の不調が表れることもあるでしょう。
プロテインの種類
プロテインは何を原料にしているかで分類されています。ここでは代表的な3種類を紹介します。
ホエイプロテイン
ホエイプロテインは牛乳に含まれているタンパク質です。ホエイとは「乳清」のことで、ヨーグルトの透明な上澄み液を指します。牛乳の主成分のうち、もう一つのタンパク質であるカゼインや乳脂肪分などの固形分を取り除くことで得られます。ヨーグルトやチーズを作るときの副産物で、ビタミンやミネラルも豊富です。ホエイからタンパク質を抽出して粉末状にしたものが、ホエイプロテインとして販売されています。
ホエイプロテインは製法によって種類分けがあり、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)、ホエイプロテインアイソレート(WPI)、加水分解ホエイプロテイン(WPH)などが代表的です。
ホエイプロテインには必須アミノ酸がバランスよく含まれているため、タンパク質の栄養価を示す「アミノ酸スコア」が優れています。そのため、筋肥大を目的としてトレーニングしている人によく飲まれています。
また、ホエイプロテインは水溶性タンパク質で水などに比較的溶けやすく、プロテインシェーカーを何度も振る必要はありません。飲みたいときにスピーディに作って飲むことができ、味にあまりクセがないので、プロテインを飲み慣れていない人にもおすすめです。飲みにくい味だと感じる場合には、牛乳やスポーツドリンクに溶かすといくらか飲みやすくなります。ただし次項に紹介する2種類のプロテインに比べるとホエイプロテインの価格は少し高めです。
カゼインプロテイン
カゼインプロテインも牛乳由来のタンパク質で、ヨーグルトやチーズの固形部分に含まれています。生乳におけるタンパク質の構成割合でいうと約80%がカゼイン、残りの約20%がホエイです。固形であることからもわかるように、カゼインプロテインは不溶性タンパク質で水に溶けません。水溶性のホエイプロテインが体内への吸収速度が早いのに対し、カゼインプロテインはゆっくりと吸収されます。その分だけ、カゼインプロテインは腹持ちがよいと感じるでしょう。
アミノ酸スコアに関しては、ホエイプロテインと同様にカゼインプロテインの数値も優秀です。それでいてホエイプロテインより価格が安いため、カゼインプロテインのほうがコストパフォーマンスに優れています。ダイエット中の間食や、就寝前に小腹が空いたときに飲むのがおすすめです。ただし、アミノ酸の筋肉の素早い吸収を期待している人や、飲みづらいプロテインは避けたいという人にはカゼインプロテインは不向きかもしれません。
ソイプロテイン
ソイプロテインの「ソイ」はソイビーンズ、すなわち大豆のことです。大豆のタンパク質から作られています。牛乳から作られるホエイプロテインとカゼインプロテインは動物性タンパク質ですが、大豆由来のソイプロテインは植物性タンパク質です。大豆は「畑の肉」とも呼ばれ、納豆や豆腐のようにタンパク質が豊富な食品の原料となっています。ソイプロテインは植物性タンパク質でヘルシーなうえに、アミノ酸スコアも優秀です。
ソイプロテインの特徴は大豆に含まれるイソフラボンの効果が得られることです。イソフラボンには女性ホルモンとよく似た効果があり、女性に起こりやすいホルモンバランスの乱れによる不調を緩和します。さらに皮膚や骨の強化、血流改善も期待できます。
ソイプロテインは水に溶けにくいため、水や牛乳を先に注いでからパウダーを入れたり、ぬるま湯で溶かしたりするなどの工夫が必要です。ゆっくりとした吸収速度なので腹持ちがよく、牛乳を飲むとお腹をこわしてしまう乳糖不耐症の人に向いています。
プロテインを飲むメリット
国内のプロテイン市場は拡大しつつありますが、なぜこれほど人気が高まっているのでしょうか。ここではプロテインを飲むメリットについて解説します。
タンパク質を取る重要性
タンパク質はアミノ酸が結合してできる化合物であり、私たちの体づくりに極めて重要な栄養素であることは大前提です。タンパク質は人間の筋肉、臓器、髪、爪、ホルモン、免疫物質などの材料です。したがって、タンパク質不足は体の材料が足りていないことを意味するため、筋肉量が減少したり肌や髪に元気がなくなったり、集中力や思考力が低下したりするのです。
高強度のトレーニングをする人は、より多くのタンパク質を必要とします。また、ホエイプロテインに多く含まれるBCAA(Branched Chain Amino Acid、分岐鎖アミノ酸)には、運動による疲労感の軽減、筋肉痛の緩和などの効果も期待できます。BCAAは運動時のエネルギー源として働くため、筋トレやスポーツのパフォーマンスを高めるのにも有効です。多忙なためにタンパク質を考慮した食事がとれない人や、加齢によって筋肉量が落ちてきた人にとっても、プロテインはタンパク質の補助食品として重要な役割を果たします。
食事では不足しがちなタンパク質を補給できる
1日に必要なタンパク質の量は、以下の式で求められます。
1日の必要タンパク質量(g) = 体重(kg) × 体重1kgあたりのタンパク質必要量(g)
あまり運動をしていない人の場合、体重1kgあたりのタンパク質必要量は0.8gです。もし体重が55kgなら、1日に必要とするタンパク質量は55×0.8=44gとなります。
毎日の食事を規則正しくとれていても、栄養素やカロリーまできちんと計算するのは大変です。自分がどれだけのタンパク質を摂取しているのか、アスリートでもない一般の人が把握できているケースは少ないでしょう。卵1個を50gとすると、含まれるタンパク質は約6gです。44g分のタンパク質を補うには卵換算で7~8個を食べなければならないため、意外と難しく感じるかもしれません。食事だけではタンパク質が不足してしまうという場合には、プロテインで手軽に補給できると便利です。
吸収されやすい
食事から固形のタンパク質を取ると、消化吸収にどうしても時間がかかります。ジムへ行く前に栄養摂取をしたとしても、食事からトレーニングをするまでの間隔が短ければ効果は限られます。仕事帰りなどでジムに寄りたいという場合は、ゆっくり食事を取る時間もありません。
しかし、プロテインならすぐに作れてさっと飲むことができます。特にホエイプロテインは吸収が早いため、トレーニング前後の栄養補給に効果的です。タンパク質の消化吸収が早ければ、筋トレ後の傷ついた筋肉細胞を速やかに修復することができます。
コストパフォーマンスが良い
タンパク質は肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。肉や魚は種類にもよりますが、米や小麦などの炭水化物と比較すると高価な食材です。1日の必要量を摂取しようとすると食費がかさむという現実的な問題が発生します。
食費を節約しようとして安価な炭水化物中心の食事ばかりをしていると、慢性的なタンパク質不足になるリスクがあります。その点、プロテインは含有タンパクの質量に対して、肉や魚などの生鮮食品に比べて価格が安いです。タンパク質摂取を目的とするならコストパフォーマンスが良いというメリットがあります。
ただし、プロテインはあくまで補助食品の位置づけのため、食品をメインにタンパク質を取るようにしましょう。鶏胸肉のような安い食肉と組み合わせると、十分なたんぱく質量を確保しながらも食費を抑えることができます。
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プロテインを飲むタイミング
プロテインの効果をさらにアップさせるには、適切なタイミングで飲むことが大切です。以下、プロテインを飲むタイミングについて説明します。
筋トレの前
筋トレによって筋肉が大きくなるのは、損傷した筋肉繊維が修復されて筋トレをする前よりも太くなっていくためです。これを「超回復」といいます。超回復には24~48時間ほどの十分な休養とともに筋肉の材料となるタンパク質が必要です。
筋トレ前にプロテインを飲んでおくと、血液中に十分なアミノ酸が蓄えられます。ホエイプロテインを飲む場合は、消化吸収の時間を考慮すると筋トレを始める60分前、遅くても30分前までに飲んでおくとよいでしょう。血液中のアミノ酸不足による、筋肉を分解して不足分を補おうとしてしまう働きを防げます。食事からタンパク質を摂取する場合には消化吸収に3~4時間かかるのに対し、ホエイプロテインは早ければ45分程度であるため、傷ついた筋肉細胞に素早くアプローチできます。
筋トレの後
筋トレ後は筋肉細胞におけるタンパク質合成が活発化します。運動直後にプロテインを摂取すると最も高い効果が見込めますが、その時間帯はしばらく継続します。運動を終えてからおよそ45分以内は「筋合成のゴールデンタイム」と呼ばれていて、プロテインを摂取するのに最適なタイミングです。
また、このとき糖質と一緒に摂取すると、さらに高い効果を得られます。糖質を取るとインシュリンが分泌されますが、そのインシュリンの働きによって必須アミノ酸が筋肉に多く取り込まれるためです。タンパク質の合成がより促進され筋力増強につながります。時間に余裕があれば、プロテインを単体で飲むよりバランスの良い食事を取るよう心がけてください。
就寝前
睡眠中は食事を取ることはできないため、タンパク質が体内に補給されない時間帯です。ハードな筋トレ後などに、眠っている間にも筋肉細胞の回復を図るなら、就寝前にプロテインを摂取すると効率が良くなります。ただし、眠っているときに胃腸へ負担をかけると睡眠の質が下がる可能性があります。吸収が早いホエイプロテインを飲む場合でも就寝時には消化吸収が済むように、就寝する30分から1時間前までに飲んでおくのがおすすめです。
さらに、就寝前にプロテインを取ることは成長ホルモンの働きを促す効果も期待できます。成長ホルモンは筋肉の成長を助ける物質で、私たちが眠っている間も休まず分泌されています。成長ホルモンが筋肉の修復をする際に材料となるタンパク質が不足しないよう、就寝前にもプロテインを飲むようにしましょう。
起床後
睡眠中は体外から栄養を摂取できないので、眠る前にプロテインを摂取していたとしても、起きたときには血液中のアミノ酸がなくなっている状態です。起床直後にもプロテインを飲んで、良質なタンパク質と水分を速やかに取り入れましょう。筋肉の増強を行う際には、体内のタンパク質が枯渇した状態をつくらないようにするのが好ましいです。
「置き換えダイエット」などで、朝食代わりにプロテインを飲むという方法もあります。しかし、タンパク質だけでなく糖質やその他の栄養素も摂取することが健康を保つ上で重要です。朝食は基本的に食べるようにして、朝のタンパク質不足を補うためにプロテインも飲むという習慣づくりがおすすめです。
間食として
筋肥大を目的にトレーニングをしている場合は規則正しく食事をとり、なるべく体内のタンパク質不足が起こらないようにしたいところです。しかし仕事の時間が長引くなどして、食事の間が空いてしまったりタイミングが不規則になったりするケースも多いでしょう。間食やおやつとしてプロテインを飲めば、食事を取る時間がなくてもタンパク質の枯渇状態を回避できます。
ダイエットで食事制限をしている人の間食としても、プロテインはおすすめです。糖質や脂質が多い菓子類を食べるよりも、プロテインのほうが体脂肪になりにくいからです。長時間の空腹状態になると筋肉の分解が起こって基礎代謝が落ちてしまうため、ダイエット中にこそプロテインの利用をおすすめします。
プロテインを持ち歩く方法
筋トレの前後や仕事の合間に間食としてプロテインを摂取する場合、必然的に外出先で取ることになります。つまり、何らかの方法でプロテインを携帯しなければなりません。ここでは、プロテインを持ち歩く方法について解説します。
シェーカーに入れておく
自宅でプロテインパウダーを水などに溶かし、水筒やシェーカーに入れて持ち歩く方法もありますが、荷物が重たくなってしまうデメリットがあります。職場やコンビニ、自動販売機などで水は出先でも手に入るので、同じようにシェーカーを持ち歩くにしても自宅で溶かす必要はありません。
シェーカーに1食分のプロテインパウダーを入れて持ち歩き、飲むときに水や牛乳を注いで溶かす方法がおすすめです。また、プロテインパウダーを小分けにして持ち運べるケースを活用するのもよいでしょう。職場に自分用のプロテインの袋を置いておけるなら、帰りにジムへ寄る前にもタンパク質の補給ができて便利です。
プロテインバーやゼリーなどを購入する
近年のプロテイン関連商品は種類が豊富で、そのまま飲めるドリンクタイプや固形食タイプなどがコンビニやドラッグストア、駅の売店でも手に入ります。なかでもプロテインバーやゼリーは手軽に食べられるため、人気が高い売れ筋商品です。メーカー各社がしのぎを削って開発していることもあり、味や食感もさまざまなタイプが用意されています。プロテイン1回分では物足りない人や、シェーカーを持ち歩きたくない人に特におすすめです。
タンパク質以外の栄養素も添加して「機能姓表示食品」として売り出しているものもありますが、食事代わりにするのは避けたほうが無難です。また、脂質や炭水化物を多く含んだ高カロリーの商品もあるので、ダイエット中は栄養成分表示をよく見て選ぶようにしてください。
まとめ
プロテインは筋トレやダイエットに真剣に取り組む人たちの強い味方です。正しく摂取することでトレーニングの効果を高めることができます。
プロテインの効果的な摂取方法について迷ったら、スポーツジムのトレーナーに質問してもいいでしょう。トレーナーは専門知識にもとづいて栄養指導も行っている上に、自らもプロテイン愛用した経験からさまざまな商品知識も持ち合わせています。
トレーニングとプロテインの両方で相談をしてみたい人は、お近くの スポーツクラブNASの店舗 までお問い合わせください。
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