筋トレ後の飲酒はOK?アルコールの影響や両立するポイントを解説!

筋トレ後にお酒を飲んでもいいのか、トレーニングを習慣にしている方にとって気になるテーマではないでしょうか。アルコールは筋肉の回復や成長に悪影響を及ぼすとも言われますが、適切なタイミングや量を守れば、必ずしも完全に避ける必要はないと考えられます。
当記事では、筋トレ後の飲酒が体に与える影響、避けるべきタイミング、筋トレとお酒を両立するための工夫や注意点を解説します。トレーニング後にお酒を楽しみたい方、筋トレ効果をできるだけ下げずに飲酒したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
Toggle筋トレ後はお酒を飲んでもいい?

筋トレ後の一杯は格別ですが、「本当に飲んで大丈夫?」と不安に感じる方も多いでしょう。お酒が筋肉に与える影響や、筋トレ効果を損なわない飲酒のタイミングについて知っておくことは大切です。
ここからは、筋トレ後にお酒を飲むと起こる体内のメカニズムと、何時間空ければ安心して飲めるのかを解説します。
筋トレ後にお酒を飲むと起こる体内のメカニズム
筋トレ直後は全身の血流が活発になっており、かつ胃に食べ物が入っていない「空腹状態」であることが多いため、アルコールの吸収が非常に早く進みます。その結果、血中アルコール濃度が急激に上昇しやすく酔いが早く回る傾向があり、特にふらつきやめまい、脱水症状などが起きやすくなり、体調を崩すリスクが高まります。運動によって体内の水分も減っているため、アルコールの利尿作用によりさらに脱水が進む可能性もあるでしょう。
一方、筋トレ後に少し時間を空け、食事や水分補給を済ませた上で飲酒すれば血中アルコール濃度の上昇はゆるやかになり、体への負担も軽減されます。
筋トレ後は何時間後にお酒を飲んだらいい?
筋トレ後にお酒を楽しみたいときは、飲むタイミングに注意が必要です。筋トレによって筋繊維が損傷すると、身体はその修復と成長のために筋タンパク質の合成を高めます。特に運動後1〜2時間は、安静時と比較してタンパク質合成速度が有意に増加することが報告されています。
出典:日本基礎理学療法学雑誌「筋トレ後ぐっと一杯 飲酒で効果「3割消える」ことも」
この時間帯にアルコールを摂取すると、筋タンパク質合成が抑制され、筋肉の回復や成長に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、筋トレ後すぐの飲酒は避け、少なくとも1〜2時間程度は間隔を空けるのが望ましいとされています。
アルコール摂取が筋トレ効果に与える影響
筋肉を効率よく成長させるには、トレーニング以外にも栄養や睡眠、ホルモンの働きが密接に関係しています。
ここからは、アルコール摂取が筋トレ効果にどのような影響を及ぼすのかを解説します。
テストステロンが減少する
筋トレ後のアルコール摂取が筋肉の成長に悪影響を与える理由の一つが、「テストステロン」の分泌への影響です。テストステロンは、筋肉の合成や骨の形成を促す男性ホルモンの一種で、筋トレの刺激によって自然に分泌が高まるホルモンです。筋肥大を目指す人にとって、テストステロンの分泌は成果に大きく影響する重要な要素です。
ところが、アルコールを摂取するとテストステロンの分泌が低下することが分かっています。適量のアルコール摂取はテストステロンを増やしますが、過剰な飲酒は血中のテストステロン濃度を下げ、筋肉の成長に必要なホルモン環境を乱す原因になります。
出典:PubMed「男性のテストステロン合成に対するアルコールの影響」
出典:厚生労働省健康局「アルコール関連問題等に対する取組の現状と課題」
また、アルコールは「コルチゾール」というストレスホルモンの分泌を促すことも知られています。コルチゾールは筋肉を分解する作用があり、せっかくのトレーニング効果を打ち消してしまう可能性もあるでしょう。ホルモンバランスの乱れは、パフォーマンス低下や筋肉の回復遅延にもつながります。
筋タンパクの合成が阻害される
筋トレ直後の体内では、筋肉合成を促進する「mTOR(たんぱく質キナーゼ)」の働きが活発になります。mTORは、トレーニングやタンパク質の摂取によって活性化され、筋タンパク質の合成を加速させます。
出典:日本農芸化学会「運動による骨格筋肥大メカニズム筋タンパク質同化にかかわる運動シグナル」
しかし、アルコールを摂取するとmTORの活性が低下し、筋合成の効率が著しく落ちることが分かっています。
オーストラリア・RMIT大学の研究では、トレーニング後の「アルコール+プロテイン」摂取で筋合成が24%減少し、「アルコール+糖質」では37%もの低下が見られました。
出典:PLOSone「アルコール摂取は、同時トレーニングの1回後の筋原線維タンパク質合成の最大運動率を低下させる」
筋合成率が低下したのは、アルコールがmTORの働きを鈍らせ、代謝エネルギーをアルコール分解に奪われるためです。たとえプロテインを摂っても、筋肉の回復と成長が後回しになり筋タンパクの合成が阻害されるため、アルコール摂取は筋トレ効果への影響が大きいと言えます。
栄養吸収を妨げる
アルコールを摂取すると、体内のさまざまな栄養素の吸収や代謝に悪影響を及ぼすことが分かっています。特に影響を受けやすいのが、ビタミンB1やビタミンC、ナイアシン、亜鉛などのビタミン・ミネラル類です。
アルコールを分解する際は、ビタミンB1、ナイアシン、亜鉛などのビタミン、ミネラルが大量に使われるため、不足しやすくなります。深酒をした翌日に倦怠感や集中力の低下を感じるのは、ビタミン不足によるものかもしれません。日常的に飲酒が続くと栄養の補給が追いつかず、慢性的な欠乏状態に陥る可能性もあるため注意が必要です。
睡眠の質が低下する

筋トレ後の体は、筋肉の微細な損傷を回復させるため、質の高い睡眠を必要とします。特に深いノンレム睡眠中に分泌される成長ホルモンは、筋肉の合成と修復に不可欠なホルモンです。しかし、就寝前のアルコール摂取は睡眠の質を著しく低下させる要因となります。
アルコールを分解する際に発生するアセトアルデヒドには覚醒作用があり、加えてアルコール自体に利尿作用もあるため、睡眠が浅くなり途中覚醒が起こりやすくなります。その結果、深い睡眠が減り、成長ホルモンの分泌が抑制されてしまいます。特に筋肉の成長を目指すトレーニーにとって、就寝前の飲酒は筋肉の回復効率を下げる大きなリスクとなるため、避けるべき習慣です。
筋トレとお酒の関係で押さえたいアルコールの種類
筋トレを日常に取り入れている方にとって、お酒との付き合い方は気になるポイントです。特に「どの種類のお酒を選ぶか」は、筋肉の成長や体づくりに影響を与える可能性があります。
ここでは、筋トレとお酒の関係で押さえたいアルコールの種類を紹介します。
醸造酒
醸造酒とは、果物や穀物などの糖分を含む原料をアルコール発酵させて作られるお酒のことです。代表的なものにはビール、ワイン、日本酒などがあります。醸造酒は蒸留酒に比べてアルコール度数が低めで、ビールは4~6%、ワインは10~14%程度です。ただし、原料に含まれる糖分がそのまま残ることが多く、カロリーが高くなる傾向があります。
特に筋トレに取り組んでいる人にとって、糖質やカロリーの過剰摂取は体脂肪の増加につながる可能性があるため注意が必要です。赤ワインにはポリフェノールといった抗酸化物質も含まれており、筋肥大に好影響を与える可能性もありますが、摂取量が多ければマイナスに転じる恐れもあるためあくまでも適量が基本です。
蒸留酒
蒸留酒とは、発酵させた液体からアルコール成分を蒸気にして抽出し、再び冷やして液体に戻す「蒸留」という工程を経て作られるお酒です。代表的な蒸留酒には、ウイスキー、ブランデー、焼酎、ウォッカ、テキーラなどがあります。蒸留酒の特徴は、アルコール度数が高い反面、糖質をほとんど含まない点です。
一般的にアルコール度数は40~50%ほどと高く、原液のままではカロリーも高くなりがちですが、水やソーダで割って飲むことで糖質を抑えつつ飲みやすくなります。特に糖質制限をしている人や、筋トレをしている人にとっては、血糖値を上げにくく脂肪になりにくい点がメリットです。中でもウイスキーのハイボールや焼酎ハイボールは、低糖質・低カロリーなお酒として人気を集めています。
筋トレとお酒の両立で意識すべきポイント
筋トレとお酒は相反する存在のように感じられますが、適切に向き合えば両立も可能です。筋肉の回復や成長を妨げずにお酒を楽しむには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
ここからは、筋トレとお酒の両立で意識すべきポイントを解説します。
アルコール摂取量を意識する
筋トレ後に飲酒する際、タイミングだけでなく「飲酒量」も重要なポイントです。血中アルコール濃度が高くなると、筋肉の合成を妨げる影響が出てきます。たとえトレーニング後2時間以上空けていたとしても、アルコールを大量に摂取してしまえば意味がありません。飲みすぎればその分、筋肉にかかる悪影響も長く続いてしまいます。
厚生労働省の「健康日本21」では、1日の節度ある飲酒量の目安として、純アルコール20gが推奨されています。これはビール中瓶1本(500ml)、ワイン1杯(120ml)、ウイスキーならダブル1杯(60ml)に相当する量です。個人差はありますが、特に女性やお酒に弱い方、高齢者はさらに少量が適量とされています。筋トレの成果を守るためにも、自分に合った飲酒量を意識してコントロールすることが大切です。
出典:厚生労働省「アルコール」
水分を多く摂取する

筋トレ後には水分補給が不可欠ですが、お酒を飲む予定がある場合は、さらに意識して多めに水分を摂取することが大切です。運動によって発汗し、体内の水分が失われている状態に加え、アルコールには利尿作用があるため、さらに脱水が進行しやすくなります。脱水状態になると、筋肉の修復や回復が遅れ、筋トレの効果が十分に得られなくなる可能性があります。
飲酒時は、お酒と同量の水を交互に飲むように意識すると、脱水の防止や血中アルコール濃度の急上昇を抑える効果があります。また、水や炭酸水で割るなどしてアルコール度数を下げる工夫も有効です。
喉が渇いたと感じたときにはすでに脱水が始まっているため、こまめな水分補給を心がけ、1日あたり1.2リットル以上を目安に補給しましょう。
まとめ
筋トレ後の飲酒は、摂取のタイミングや量をコントロールすれば、必ずしも避けなければならないものではありません。ただし、アルコールには筋肉の合成を妨げたり、睡眠や栄養吸収に影響を与えたりするリスクもあるため、注意が必要です。適切な時間を空け、飲酒量や種類を意識することで、筋トレとお酒を無理なく両立することができます。
特にこれから筋トレを始める方や、自分に合った効率的なトレーニング方法を知りたい方は、専門的なサポートが得られる環境を選ぶことが大切です。全国に店舗を展開するスポーツクラブNASでは、初心者の方にも安心してご利用いただける体制が整っています。
トレーニング指導だけでなく、生活習慣の改善や食事に関するアドバイスも受けられるので、ぜひお気軽にご利用ください。
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